NBAのニューオリンズ・ホーネッツの例を紹介しよう。
2010年10月29日の試合チケットを、チケットマスターを通して購入、観戦した。
翌30日、ホーネッツから観戦のお礼とアンケートへの協力依頼がメールで送られてきた。
さっそく、アンケートに進んだところ、以下のような内容。画面表示で3ページほど、回答は5分程度で可能なものであった。
- 観戦理由: 9項目の複数回答
- 試合情報の入手経路: 14項目の複数回答
- 座席のエリア: 3エリアから選択
- 試合観戦満足度: 10段階尺度
- サービスの重要度: 9種類のサービス項目、5段階尺度
- サービスの満足度: 重要度と同項目、5段階尺度
- その他の重要なサービスは何か: 自由記述
- Giveaway(この日はTシャツ、ジュース&ポップコーン)をもらったかの有無
- Giveaway製品の満足度: 5段階尺度
- Giveawayのスポンサー名の認知度: Yes or No
- Giveawayのスポンサー名の想起: 記入式(Q10でYesと回答した者のみ)
- 関心のあるチケットプラン(種類): 6項目から選択
- 今シーズンの再観戦希望回数: 1回、2回、3~4回、5~8回、9~15回、16回以上
- (その理由: 「1回」と回答した者のみに回答を求める)
- 年齢
- 性別
- 世帯収入
- 人種
- 子供の数
- 住所
- メールアドレス
このように、内容は、
- 観戦理由
- サービス評価(Important / Performance Analysis)
- スポンサー評価(認知、想起)
- 個人的特性
に分かれている。
いくつかの面白い視点が含まれているが、その中から「13」と「14」について紹介しよう。
「14」の理由の回答欄のWebは、「13」で「1回」と回答した時だけ開き、「なぜ、あと1回しかこないのか」の理由を聞いてくる。
つまり、今後「2回以上来る」と回答した人には、その理由を聞かないのだ。
ここには、ホーネッツが何とかして観戦経験者の観戦回数を「もう一回」増やしたい、そのためにはどうしたらいいのかを探りたい、という意図が見える。
観戦回数エスカレーターを1ステップでも上にスライドさせたいのだ。
この視点は、スポーツマーケティングの理論とファンや観客のデータに基づいており、そこから得られたマーケティング課題の具体的な解決策につながる情報収集が展開されている。
おもしろい。
とはいっても、このアンケートにどの程度の回答者がいるのだろうか?
シーズンを通して見れば、そこそこの数が集まるのかもしれない。ネットを通したチケット購入だからこそ、オートマティックにアンケートへの回答をメールで依頼することができ、貴重なデータを収集することができるのだ。
一方、その回答者は、
- 同じ人が回答している
- 関心の高い人だけが回答している
危険性が高い。もちろん、このデータを解析し、傾向を読み取るマーケターは、その程度の危険性は十分に把握しているだろう。
さて、Jリーグはどうか?
私がかかわっているJリーグスタジアム観戦者調査(2009)によると、インターネットでチケットを購入した人の割合は2.6%に過ぎない(Jリーグ全体の平均)。
この数字を見る限り、ホーネッツと同様の手法による観戦者データの収集は不可能に近い。
一方、この「Jリーグスタジアム観戦者調査」は、J1とJ2の全チームを対象に、スタジアムで毎年実施している。
調査員がスタジアム内で直接協力を依頼するのだが、協力を断られることはほとんどない。したがって、ホーネッツのネットでの回答依頼のように、回答者が偏る可能性は少ない。
もちろん、調査である以上いくつかのリミテーションは存在する。
しかし、皆さんにも知っておいていただきたい。
Jリーグスタジアム観戦者調査のような調査を、「毎年」、「同じ手法で」、「全チームで」展開し、データを分析・活用しているプロスポーツリーグは、世界にJリーグしかない。
私が、現在赴任しているフロリダ州立大学のスポーツマーケティングの授業でプレゼンした時にも、、このデータは大きな関心を呼んだ。
2010年の調査結果は、近いうちにJリーグのホームページ内で公開されるだろう。過去数年分の結果も含めて、是非、ご覧いただきたい。
その他にも、独自に調査を展開しているJリーグクラブは少なくない。
観戦者やファンのデータを集める方法はいろいろとあるが、どれにしても、回答者の協力が不可欠である。
より多くの方の協力によって結果の信頼性が高まり、より正確な情報がクラブのマーケティング・マネジメントにフィードバックされる。
今後も、ぜひ、ご協力をお願いしたい。
藤本淳也 ブログ
大阪体育大学、フロリダ州立大学特別研究員2010.9~2011.8
Jリーグ、観戦者、調査、NBA、メール調査
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